「無理に飛ばすのをやめた」大久保柚季、ステップアップ最終戦で見えた変化の正体

「無理に飛ばすのをやめた」——
この言葉だけを見ると、
どこか守りに入った選択のように聞こえるかもしれない。

でも、ステップアップツアー最終戦で見えた
大久保柚季のゴルフは、
そんな単純な話じゃなかった。

派手なショットはない。
力でねじ伏せる場面もない。
それでも、不思議なほど崩れない。

年間総合1位がかかる緊張感の中で、
彼女のプレーには、
「迷っていない人の落ち着き」があった。

いつ、何が、どう変わったのか。
本人が声高に語ったわけでもない、その変化は、
成績の並びと、ボギーの出方に、答えが出ている。

この記事では、
2024年プロテストで見せた一瞬の涙と、
2025年シーズンの数字を手がかりに、
大久保柚季の「変化の正体」を僕なりに言葉にしてみる。

1. ステップアップ最終戦で感じた「怖さがない(のに強い)」

ちなみに僕は、現地で全ラウンドを追っていたわけじゃない。
ただ、映像とスコアを追いながら、
「この最終戦、空気が違うな」と感じていた一人だ。

最終戦って、独特の空気があるんだよね。

とくに「年間総合1位」が絡む立場で迎える最終戦は、プレーそのものよりも、
“その場に立っていること”自体が、もう一つの勝負になる。

だからこそ、僕は今回の大久保柚季のラウンドに、最初にこう感じたんだ。

「あれ、怖さがない」って。

もちろん、派手なショットがないわけじゃない。
でも、飛距離でねじ伏せるような迫力でもない。
それでも、なぜか崩れそうな気配が薄い。

観ている側が勝手に心配してしまうような場面でも、
彼女のプレーには落ち着きがあった。

僕が引っかかったのは、これが「守りに入っている」ではないってこと。

守りのゴルフって、見るとわかる。
手が縮こまって、判断が遅れて、ショットが置きにいく感じになる。

でも、その種類の窮屈さが見えない。
むしろ、“できることだけを淡々とやっている”という風に見えた。

最終戦の舞台で、結果が求められる場所で、
その落ち着きが出せるって、簡単じゃない。

そして僕は、ここから先を考えたくなった。

彼女は、いつ、どこで、何を変えたんだろう。

——その答えを追いかけていくと、
2024年のプロテストで見せた、あの小さな言葉に辿り着くんだよね。

2. プロテストで見せた「ちょっとだけ泣いていいですか」

時間を少しだけ戻そう。

2024年、プロテストのラウンド中。
ミスショットのあと、大久保柚季は同伴競技者に、こう声をかけたという。

「ちょっとだけ泣いていいですか?」

この一言、何度思い返しても胸に引っかかる。

プロテストという場は、
技術だけでなく、感情を押し殺すことが正解だと思われがちだ。

弱音を吐かない。
表情を変えない。
何事もなかったように振る。

でも彼女は、そこであえて、
「泣いてもいいですか?」と口にした。

ここが、彼女を語るうえで最も大きなキモ。

感情に飲み込まれたわけじゃない。
泣き崩れたわけでもない。
“少しだけ外に出して、区切りをつける”ための涙だった。

そして、そのあと彼女はプレーを立て直し、
プロテスト合格をつかんだ。

この出来事を、
「メンタルが弱かった」と切り取るのは、たぶん違う。

むしろ逆で、
自分の感情を扱える選手だという証拠だと思う。

ゴルフって、ミスをゼロにはできない。
だからこそ重要なのは、
ミスした“あと”をどう過ごすか。

引きずるのか。
無理に取り返そうとするのか。
それとも、一度リセットできるのか。

プロテストという極限の場で、
彼女はすでに、「切り替えるための自分なりの方法」を持っていた。

この感覚が、あとになって、
別の形で効いてくることになる。

次に語るのは、
その切り替えがうまくいかず、
少し迷い込んでいた2025年前半戦の話だ。

3. 2025年前半戦にあった「迷いの時間」

プロテストに合格し、
ステップアップツアーを戦う2025年。

数字だけを見れば、
「順調なルーキーイヤー」と言う人もいたかもしれない。

でも、ラウンドを追って見ていると、
どこか噛み合わない時間が続いていた。

大きく崩れるわけじゃない。
かといって、勝負どころで抜け出せる感じでもない。

悪くはない。でも、手応えが薄い。

そんなラウンドが、前半戦には多かった印象がある。

「悪くないのに、勝てない」前半戦の正体

ここで大事なのは、
「成績が悪かった」という話じゃない。

むしろ、
勝ちに行こうとして、少し無理をしていた
ように見えた、ということ。

距離が欲しいホール。
流れを変えたい場面。
ここで一発、という気持ち。

プロになったばかりの選手なら、
誰もが一度は通る試練。

「自分はここで戦えるのか」
「もっと何かが必要なんじゃないか」

そう考え始めたとき、
ゴルフは少しだけ、難しくなる。

結果として、2025年前半戦は、
上位には顔を出すけれど、
優勝という形にはなかなか届かなかった。

数字が示した「夏以降の変化」

そして成績を振り返ると、
ひとつ、はっきりした事実が浮かび上がる。

勝利は、夏以降に集中している。

期間 主な結果 成績の傾向 プレーの印象(観測)
2025年前半戦
(春〜初夏)
・上位フィニッシュはあるが優勝なし
・順位に波がある
・安定はしているが突き抜けない
・スコアのばらつきが目立つ
流れを変えようとする場面で、
ややリスクを取る選択が増えていた印象
2025年夏以降
(後半戦)
・ステップアップツアー3勝
・2連勝を含む勝利
・年間総合1位を確定
・大崩れが減少
・上位で安定して完走
再現性を優先し、
無理をしない判断を積み重ねていた印象

※成績は公開リザルト、プレー印象は映像とスコア推移からの私見です。

これは偶然とは言い切れない。

前半戦は、探っていた時間。
何を足すか、どう強くなるかを考えていた時間。

でも、その問いそのものを、
手放す瞬間がやってくる。

次の章で触れるのは、
彼女が何かを「足した」のではなく、
「やめた」ことで流れが変わった瞬間だ。

4. 「無理に飛ばすのをやめた」という変化の正体

夏を境に、流れが変わる。

成績表を追っていると、
その変化は、はっきり数字に表れている。

優勝。
そして、もう一度優勝。
さらに、年間総合1位へ。

ここで誤解しちゃいけないのは、
大久保柚季が「突然、別人のように強くなった」わけじゃないということ。

スイングを大きく変えたという話も、
劇的な肉体改造のニュースもない。

じゃあ、何が変わったのか。

僕はここを、こう捉えている。

「無理に飛ばす必要がないと、受け入れた」

前半戦は、
届かせたい距離、取り返したい流れ、
そういう“欲しい結果”が先に立っていたように見えた。

でも夏以降は、
その欲を、一段だけ後ろに下げている。

飛距離が必要なホールでも、
最大値を出しにいかない。
その日、その場で、再現できるショットを選ぶ。

これは守りじゃない。

むしろ、
自分を信用した上での選択でしかない。

「これ以上を出そうとしなくていい」
「今の自分で、十分戦える」

そう腹をくくれた選手は、
プレー中の迷いが減る。

判断が早くなり、
ミスのあとの立て直しも早くなる。

結果として、
大叩きが消え、
スコアが整っていく。

ステップアップ最終戦という、
「守り切る力」が問われる舞台で、
彼女が崩れなかったのは、偶然じゃない。

飛ばさなかったから勝った、ではない。

無理をしない判断を、何度も選び続けた。
その結果が、勝ちにつながった。

そしてこの判断力の土台には、
あのプロテストで見せた「切り替え」がある。

次は、その点をもう一度掘り下げよう。


彼女が勝負強くなった理由は、
技術よりも、感情との付き合い方にある。

6. 2026年前半戦へ──この変化は通用するのか

ステップアップツアー総合1位。

この結果によって、
2026年前半戦のトップツアー出場が決まった。

ここで、つい言いたくなる言葉がある。

「このゴルフで、通用するのか?」

飛距離で圧倒するタイプではない。
一発で流れを変えるような派手さもない。

だからこそ、
この問いが浮かぶのは自然なこと。

「通用するのか?」という問いへの、僕の答え

でも、僕はこう考えている。

トップツアーだからこそ、試される変化だと。

トップツアーは、
ミスを許してくれない。

一度の判断ミスが、
そのまま順位に直結する世界だ。

だから、
「無理をしない判断」
「再現できるショットを選び続ける力」
「感情を引きずらない切り替え」

これらは、
カテゴリーが上がるほど、大事になる要素なんだ。

:contentReference[oaicite:0]{index=0}がやったことは、
自分を変身させることじゃない。

自分を大きく見せることでもない。


自分のゴルフを、
最後まで信じる準備を整えただけ
ただ、それだけ。

もしトップツアーで、
結果がすぐに出なかったとしても、
この変化が揺らぐとは思えない。

いや、変えないで欲しい。

なぜなら、これは一時的な戦術じゃなく、
生き残るための選択なのだから。

それでも、僕はこのゴルフを信じたい

無理をしない。
感情を引きずらない。
判断を誤魔化さない。

これがきちんとできれば、
派手さはないけれど、確実に強い。

ステップアップ最終戦で感じた「怖さがない」は、
たぶん、これが理由だ。

彼女は、もう探していない。
何かを足そうともしていない。

だから、彼女のゴルフに怖さは必要ない。

でも、
映像で派手さは拾えなくても、
ボギーの出方だけは嘘をつかない。

応援する側も、
“飛ばす=正義”から一回降りてもいい。

――無理に飛ばす必要はないんだ。

少なくとも、僕はそう受け取った。

よくある質問(FAQ)

Q. 大久保柚季は本当にゴルフスタイルを変えたのですか?

これ、よく聞かれるんだけどね。
正直に言うと、本人が「スタイルを変えました」って
はっきり言ったわけじゃないんだ。

ただ、2025年シーズンの成績の流れとか、
最終戦でのプレーを見ていると、
無理に飛距離を取りにいくより、再現できる判断を選び続けていた
……そう感じる場面が多かった。

だから僕は、「変えた」というより、
「戻った」「受け入れた」に近いと思って見ているよ。

Q. ステップアップ最終戦で評価されたポイントは何ですか?

やっぱり一番は、
年間総合1位がかかった状況で、大きく崩れなかったことだよ。

派手な攻めはなかったけど、
逆に言えば、無理をしなかった。

ああいう場面で、
「これをやれば大丈夫」という判断を続けられるのって、
実はかなり難しいんだよね。

派手さよりも、
リスクを抑える判断力と安定感
そこが一番評価された大会だったんだよ。

Q. 2026年のトップツアーでも通用しますか?

これはね……正直、簡単じゃない。

飛距離勝負じゃない分、
一打一打の判断が、もっと厳しくなる世界だから。

でもその一方で、
感情を引きずらずに、
自分のゴルフを徹底できる選手って、
トップツアーに行くほど強みが際立つことも多い。

だから僕は、
「すぐ勝てるかどうか」より、
どういうゴルフを積み上げていくのか
楽しみに見たいと思ってる。


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