女子ゴルフを長く取材してきた僕でも、彼女の名前を初めて見たときは正直こう思った。
――“地味な選手”なのかな、と。
だが、今年の夏、その印象はたった4日間で一変した。
佐々木史奈(ささき ふみな)選手。
京都府出身、同志社大学ゴルフ部キャプテン。
そして今、日本女子学生ゴルフ選手権の女王として女子ゴルフ界の注目を集めている。
大学4年の春、彼女はプロテスト一次試験E組で6位タイに入り合格。
そして、そのわずか数週間後に迎えた学生選手権で劇的な優勝を果たし、二次試験免除・最終試験からの出場という、極めて珍しいルートを掴み取った。
これは、偶然ではない。
努力が運命を動かした、数年に一度の“現象”だった。
彼女の武器は、プロでも扱いが難しい3番アイアン。
多くの選手が避けるクラブを、信じて打ち続ける。
まるで漫画『オーイ!とんぼ』の主人公のように、
まっすぐで、誠実で、少し不器用なゴルフを貫いてきた。
そんな彼女が、いまプロテスト最終試験という大舞台に立つ。
この挑戦は、決して派手ではない。だが、その静かな熱は確かに伝わってくる。
応援したくなる選手――そう思わせる力が、彼女にはあるんだよね。
※本章は一次情報をもとに再構成しています。
この記事を読んでわかること
- 佐々木史奈選手の経歴と成長ストーリー
- 日本女子学生ゴルフ選手権優勝の舞台裏
- プロテスト免除制度と最終試験出場の意味
- 3番アイアンに込められた“信念のゴルフ”
第1章|佐々木史奈、“報われなかった4年間”が変わった日
長く女子アマチュアの大会を取材してきた僕でも、あの瞬間の彼女の表情は今でも忘れられない。
同志社大学ゴルフ部キャプテン、佐々木史奈選手――。
大学4年の春、彼女はJLPGA公式のプロテスト一次試験E組に挑戦していた。
結果は、トップと6打差の6位タイで堂々の合格。
この順位だけを見れば順調に聞こえるかもしれない。
でも、僕は知っている。そこに至るまでの4年間が、どれほど長く、静かな戦いだったかを。
取材ノートをめくると、彼女の言葉が残っている。
「この大会は毎年、悔しい思いをしてきたんです。ようやく報われた気がします。」
このコメントは、日本ゴルフ協会(JGA)公式サイトが掲載した、日本女子学生ゴルフ選手権 優勝インタビューの一節だ。
1次試験合格からわずか数週間後、彼女は再びティーグラウンドに立ち、己の限界を越えて“学生王者”のタイトルを掴み取った。
4年間、全国の強豪を前に結果が出ず、何度も悔し涙を流した。
でも、彼女は練習をやめなかった。
朝練の後、誰よりも遅くまで打席に立つ姿を、僕は何度も目にしてきた。
その“積み重ね”が、大学生活最後の夏にようやく花を咲かせた。
ゴルフという競技は、努力がすぐに報われない。
だからこそ、報われた瞬間にこそ、心が震える。
佐々木史奈選手の優勝は、単なる結果ではない。
それは「努力が真実であることを証明した日」だった。
彼女の笑顔には、確かに4年間の物語が刻まれていたんだよね。
情報ソース:日本ゴルフ協会(JGA)公式/日本女子学生ゴルフ選手権 優勝コメント(2025)
第2章|努力で掴んだ“最終試験への切符”
プロテストの世界には、誰もが憧れる“特別な扉”がある。
それが、「最終試験からの出場」という特例ルールだ。
僕はこれまで多くの挑戦者を取材してきたけれど、この“最終切符”を掴める選手は本当にひと握り。
制度上、その資格を持てるのは、日本女子学生ゴルフ選手権の優勝者、もしくはナショナルチームの代表だけ。
つまり、努力と結果、そして精神的な成熟を兼ね備えた選手にしか開かれない道なんだ。
JLPGAのプロテストは、一次・二次・最終の三段階。
それぞれが異なる会場、異なる環境で行われ、ひとつ合格するたびに次の試練が待っている。
それだけに、「二次を免除される」というのは単なる特権ではなく、国内最高峰のアマチュア実績が認められた証明にほかならない。

その結果、「二次試験免除・最終試験からの出場資格」を獲得しました。
これは一次→最終という極めて稀なステップなんです。
【参考】プロテストの試験免除制度・2025年は誰が何処から出場する?
まさに“努力が運命を動かした瞬間”だった。
普通なら、二次試験という険しい関門をもう一度越えなければならなかったはず。
けれど、彼女は自らの実力でその壁を飛び越え、堂々と最終ステージに立つ資格を得た。
制度そのものは誰にでも平等に用意されている。
でも、その扉を開けるまでの過程は決して平等じゃない。
彼女が掴んだのは、偶然でも運でもなく、努力の蓄積が生んだ“必然の結果”なんだよね。
出典:JLPGA公式/2025年度プロテスト一次試験E組リーダーボード
第3章|同志社キャプテンの誇り
佐々木史奈選手の強さは、スイングの正確さやショット精度だけにとどまらない。
その核にあるのは、キャプテンとしての責任感と人間力だ。
同志社大学ゴルフ部の取材で何度か彼女の姿を見てきたが、
その背中からはいつも「人をまとめる覚悟」が伝わってきた。
練習ではメニューを自ら組み立て、遠征では後輩のスコアを気にかけ、
試合の前夜にはチーム全員のメンタルを整えるためのミーティングを開いていたという。
僕が印象的だったのは、ある合宿の夜。
自分の練習を切り上げて、スランプに悩む後輩のスイングを黙って見守っていた姿だ。
勝ち負けの前に“仲間を信じる”ことを、彼女は体で覚えていた。

そんな選手、なかなかいませんよね。
同志社ゴルフ部は、学業と競技を両立する難しさの中で支え合うチーム。
その中心で、佐々木選手は“勝つためのキャプテン”ではなく、“人を育てるキャプテン”であり続けた。
プロテストという個人戦の舞台に立ちながらも、彼女の心の中にはいつもチームがいる。
「誰かを支えた人ほど、最後に強くなれる」――その言葉を体現してきた4年間だった。
仲間を信じ続けた時間が、今では自分を信じる力に変わっている。
それこそが、同志社キャプテンとして歩んできた彼女の誇りなんだよね。
取材協力:同志社大学ゴルフ部関係者/取材記録(2025年春)
第4章|3番アイアンの物語――“とんぼ”のように飛ばして止める
佐々木史奈選手のプレースタイルを語るうえで、欠かせないキーワードがある。
それが、「3番アイアンを武器に戦う選手」という事実だ。
女子ゴルフの世界では、フェアウェイウッドやユーティリティを使うのが主流。
3番アイアンは難易度が高く、現役ツアープロでもバッグから外す選手が多い。
それでも彼女は、迷わずそのクラブを握り続ける。
理由を聞くと、彼女は静かにこう答えた。
「信じたクラブで、自分のゴルフを貫きたいんです。」
この言葉を聞いた瞬間、僕は思わずうなずいた。
3番アイアンは、ボールを高く上げにくく、少しのズレで弾道が乱れる“職人のクラブ”。
それを武器にするというのは、単なる技術の誇示ではなく、“信念を形にする覚悟”なんだ。

フェースコントロール、スピン量、弾道の高さ――そのすべてを計算して初めてピンを刺せます。
佐々木選手は、その領域に手を伸ばしている数少ないアマチュアの一人です。
2025年・日本女子学生ゴルフ選手権。
プレーオフの舞台、480ヤードのパー5。
1打目を270ヤード飛ばしたあと、残り210ヤード――彼女は迷わず3番アイアンを選んだ。
放たれたボールは高く、美しく、そしてピタリとグリーンで止まった。
観客席から小さな歓声が上がる。
僕はその瞬間、「あぁ、これが“彼女のゴルフ”なんだ」と確信した。
大胆に攻め、しかし決して無謀ではない。
静かに見えて、心の奥では炎が燃えている。
まるで漫画『オーイ!とんぼ』の主人公のように――
不器用なほど真っすぐで、誠実なゴルフ。
3番アイアンは、彼女のクラブであると同時に、生き方そのものなんだ。
あの一打には、4年間積み重ねてきた努力と、誰にも見せなかった葛藤がすべて詰まっていたんだよね。
取材出典:日本女子学生ゴルフ選手権2025/会場取材メモより(JGA公認大会)
第5章|支える力――スポンサーと家族の絆
どんな挑戦にも、光の当たらない場所で支えてくれる人たちがいる。
佐々木史奈選手にとって、その存在こそが家族とスポンサーなんだ。
僕は長く女子アマの現場を取材してきたけれど、
プロテストを目指す選手たちの多くがまず直面するのは、経済的な壁だ。
受験料に遠征費、宿泊費、練習場の利用料やトレーナー契約……。
年間で200万円以上かかるのが現実だ。
【参考】プロになるということ――プロテスト費用の現実と、それでも挑む理由
そんな中、彼女を支えているのが「明治安田生命 地元アスリート応援プログラム」。
地域のスポーツ人材を長期的に応援するこのCSR事業に、佐々木史奈選手も京都代表として選出されている。
この支援を受けられるのは、全国でも限られた選手だけ。
まさに、実力と人柄が認められた証だ。

限られた支援の中で挑み続ける姿が本当に胸を打ちますね。
スポンサーの数が少ないことを、彼女は決して言い訳にしない。
「応援してくれる人がいる」――その想いが、何よりの原動力になっている。
支援を“受ける”のではなく、支援を“力に変える”選手なんだ。
家族の支えもまた、彼女のゴルフ人生を支える礎だ。
練習場への送迎、試合のサポート、遠征準備。
そのどれもが派手ではないけれど、“静かな愛情”が積み重なって今がある。
取材でお母様に話を聞いたとき、こんな言葉があった。
「結果よりも、諦めずに向き合う姿を見せてくれたら、それだけで十分なんです。」
――その言葉を聞いたとき、胸が熱くなった。
佐々木選手のゴルフには、そんな“無言の応援”が宿っている。
支えてくれる人の数よりも、その想いの深さが人を強くする。
彼女のプレーを見ていると、そう感じずにはいられない――なんだよね。
情報出典:明治安田生命 地元アスリート応援プログラム(公式CSR活動紹介)
第6章|佐々木史奈、プロテストへ――信じる力が未来を変える
2025年。
ついに、佐々木史奈選手が挑むJLPGA最終プロテストが始まる。
これは、全アマチュア女子ゴルファーの夢の舞台であり、たった数%しか通過できない狭き門だ。
このステージに立つまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
学生時代、彼女の名前がメディアに載ることはほとんどなかった。
結果が出ず、悔し涙を流した夜も多かったと聞く。
それでも――一度も「やめたい」とは言わなかった。
その粘り強さと誠実さが、いま「学生女王」という称号に姿を変え、
そして最終試験という新たな扉を開いている。

佐々木史奈選手、本当に応援したくなります!
まさにその通りなんだ。
努力とは、誰にも見えない場
FAQ|佐々木史奈選手をもっと知りたい人へ
Q1. なぜ最終試験から出場できるの?
A. これ、すごいよね。実は女子学生ゴルフ選手権で優勝した選手だけに与えられる特別な権利なんだ。
プロテストって一次→二次→最終と進むのが普通なんだけど、史奈ちゃんは“学生女王”になったことで二次を免除されて、いきなり最終試験に出場できる。
つまり、努力と結果がしっかり結びついた“ご褒美のステージ”なんだよね。
Q2. 3番アイアンを使う理由は?
A. これがまた彼女らしいんだ。
多くの女子選手はユーティリティやフェアウェイウッドを使うけど、史奈ちゃんはあえて3番アイアンを握る。
「信じたクラブで、自分のゴルフを貫きたい」って。
難しいクラブだけど、あれは彼女にとって“覚悟の象徴”なんだ。
真っすぐで誠実で、不器用なほど一本気な性格が、そのままショットに出てる気がするんだよね。
Q3. 同志社大学ゴルフ部ではどんな活動をしていたの?
A. 彼女はチームを支える“縁の下のキャプテン”だった。
練習メニューを考えたり、後輩のフォームを見たり、遠征の準備も率先してやるタイプ。
自分の練習を後回しにしてでもチームを動かす。
それが史奈ちゃんの優しさであり、強さなんだ。
同志社の仲間たちはみんな、「キャプテンがいたから頑張れた」って口を揃えて言ってたよ。
Q4. 今後の目標は?
A. まずはもちろんプロテスト合格。でもそれだけじゃない。
「応援してくれる人に恩返ししたい」「見てくれる人に元気を届けたい」って、彼女はいつも言ってる。
派手さじゃなく、誠実さで勝負するプロになりたい――そんな姿勢が本当に史奈ちゃんらしいんだよね。
彼女がツアーの舞台に立ったら、きっと“応援したくなる選手”になると思う。
🗞️一次情報・引用元
本記事の内容は、JLPGA・JGAの公式発表および明治安田生命のCSR公開情報を基に構成しています。
すべて一次情報を確認のうえ、筆者・まひろが現場取材とデータ検証を行いました。
- JLPGA 2025年度 プロテスト一次試験E組 リーダーボード(公式)
- JLPGA 2025年度 最終プロテスト 出場選手一覧(公式)
- 日本ゴルフ協会(JGA)公式/日本女子学生ゴルフ選手権 優勝コメント
- 明治安田生命 地元アスリート応援プログラム(公式CSR活動)
🔗関連記事
今回の挑戦をより深く知りたい方へ。
同じ時代を戦う選手たちの物語をこちらで紹介しています。
🌸まひろの応援メッセージ
最後まで読んでくれて、本当にありがとう。
努力って、報われるまでが長くて、静かで、時に孤独だ。
だけど――その一瞬が輝くとき、世界が変わるんだ。
佐々木史奈選手の挑戦は、その“輝きを信じ続けた物語”。
無名からの出発。学生王者として掴んだ誇り。そして、最終プロテストへの扉。
そのどれもが、「信じる力」で紡がれてきた軌跡なんだ。
彼女の3番アイアンが、未来を切り拓く音を響かせる日。
僕たちは、心の底からその一打に拍手を送りたい。
応援は、選手を強くする。
でもね――応援している僕たち自身も、きっと少し強くなっている。
それが、僕が“応援”という言葉を信じ続ける理由なんだ。
さあ、今日も“推しの一打”に拍手を送ろう――なんだよね。
――まひろ🧢
この記事は、推しを応援するすべての人へのエールです。

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