2024年にプロテストを通過し、JLPGAルーキーとして注目を集める中村心(なかむら・こころ)選手。250ヤードを超える飛距離と果敢な攻めでピンを射抜くスイングには、確かな“育ての手”がありました。
長年にわたり支えてきたのは、独学でゴルフを学び、型に縛らず導いた父・英治さん。そして、プロ入り直前に師事した中島常幸プロのアカデミーで得た技術と心構え。
二人の“師匠”の存在が、彼女の唯一無二のスイングを形づくったのです。
中村心選手のスイングの背景と、攻撃的ゴルフの魅力に迫ります。
中村心のスイングを作った二人の師匠|父親と中島常幸プロ
普段は淡々とラウンドをこなす中村心だが、勝負所では一転、強気な攻めとガッツポーズが飛び出す。それは、“心が動いた瞬間”の証。彼女のゴルフには、静かだが確かな闘志が宿っている。
彼女のプレースタイルを支えてきたのは、2人の師である。
ひとりは、幼少期から彼女を見守り、独学の知見で土台を築いた父・英治さん。
もうひとりは、プロの技術と考え方を注ぎ込んだ中嶋常幸プロだ。
心選手の父・英治さんは、自らゴルフを独学で学び、その経験をもとに娘の指導を続けてきた人物だ。心選手がクラブを握ったのはごく自然な流れだったが、その環境が特別だったのは、“型にはめない”父の姿勢にある。
「好きなら続ければいい」——英治さんは、教え込むのではなく、本人の感覚に委ねることを大事にしてきた。心選手がスイングを自由に模索できたのは、まさに“教えすぎない”スタンスのたまものだろう。
高校時代、彼女はECC学園高等学校(通信制)のスーパーアスリート養成コースに進学。より集中してゴルフに取り組むため、通常の通学を避け、時間を自らマネジメントする道を選んだ。
そのころ、さらなる技術強化を求めて門を叩いたのが、中嶋常幸プロが主宰する「トミーアカデミー」だった。アカデミーでは、プロの視点からメンタルやショートゲームの精度が磨かれた。特にスイングの安定性と戦略眼の面で、彼女の成長は加速した。
父の指導で育んだ“感覚”に、アカデミーでの“理論”が加わったことで、中村心のゴルフは一段階、進化を遂げたのだ。
名前:中村 心(なかむら こころ)
出身地:山口県
出身校:ECC学園高等学校(通信制・スーパーアスリート養成コース ゴルフ部)
ドライバー飛距離:250ヤード
得意クラブ:ドライバー
中村心のスイング|攻撃的なゴルフの宿命
風が吹いていようと、ライが荒れていようと、彼女はピンを見据えて振る。
それが中村心のゴルフだ。
攻める。振り切る。勝負する。
そのスタイルが一貫しているからこそ、彼女の試合はスリリングだ。
追いかける展開では爆発力を見せ、追われる立場では一打の重みと向き合う。
勝負の残酷さと、美しさを同時に見せてくれる。それが彼女の魅力だ。
プロ入り後、心選手の戦績は波がある。だが、どの試合でも“勝負の場面”をつくってきた。
中村心選手のプレースタ”飛ばし屋タイプ”です。
トーナメント名 | 順位 |
Vポイント×SMBC | 37位タイ |
アクサレディス in 宮崎 | 予選落ち |
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン | 2位タイ |
KKT杯バンテリンレディス | 予選落ち |
栄光の裏に、悔しさがある。
その両方を体現したのが、次の2試合だった。
逆転勝ち|2023年「日本ジュニアゴルフ選手権(女子)」での優勝
トップと4打差で迎えた最終日。
大会前夜、父・英治さんからは短い言葉が電話で届いた。
「自分がどこまで伸ばせるか、ひとつずつバーディを積み重ねて、最後まで集中していきなさい」
この言葉を胸に挑んだ最終ラウンドで、中村心は前半5バーディ、後半4バーディ。
合計9つのバーディを奪って、劇的な「逆転勝ち」を飾った。
しかも、最終18番でもバーディフィニッシュ。
ただ勝つのではない。“魅せて”勝つ。そんな勝負師のスイングが、そこにあった。
逆転負け|2025年「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」2位タイ
2日目終了時点で、心選手は7アンダー、3位タイ。トップの入谷響選手とは2打差だった。
そして、最終日。13番ホールでバーディを奪って単独首位に立つ。
だが、最終18番。
ピンを真っ向から狙ったショットは、わずかに距離を残し、10メートルのバーディパットに。
緊張の中、パットは2メートル以上ショート。続くパットもカップに嫌われ、まさかのボギー。
プレーオフに突入するも敗れ、優勝を逃した。
この大会では、入谷響選手が4位タイ、徳永歩選手は26位タイ。
試合に敗れはしたものの、彼女の攻撃的なスイングが印象に残った試合だった。
中村心選手を応援する方法
クールな佇まいの中に、真っすぐな芯を持つ。
中村心選手の魅力は、見るたびに少しずつ、その奥行きを見せてくれます。
彼女を応援する理由は、人それぞれ。
でも、きっと共通しているのは、「これからもっと強くなる」という予感でしょう。
そんな中村選手を、どんなふうに応援できるでしょうか?
2024年のプロテスト合格組には、実力者がずらり。
富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで中村選手が、プレーオフに敗れて2位タイに入った翌週、同期の水木春花選手がステップアップツアーで優勝しました。
まだ、LPGAツアー本戦での優勝者は出ていません。
初優勝の一番乗りを、心選手に託してみたくなりませんか?
中村選手は、2023年のプロテストには合格しませんでした。
しかしその年、国内女子アマチュアの代表選手として「オーガスタ女子アマ」に出場。
結果的に、世界の舞台を経験できたのです。
「プロになるだけが道じゃない」
そんなふうに、自分の歩みを前向きにとらえられる姿勢も、応援したくなる理由のひとつです。
彼女が語る目標は、賞金女王、そして海外挑戦。
その道のりは、決して平坦ではありません。
だからこそ、いまの一打、いまの大会が、未来につながっていく。
海外で飛躍するその日まで。
まずは国内ツアーで、目の前の一戦を戦う彼女を、近くで応援してみませんか?
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