ゴルフが上手くなりたくて見ていたYouTubeで、たまたま見かけた女子プロゴルファーのプレー。その一生懸命さにすっかり魅了され、「なんだか、自分の娘を応援してるみたいだなあ」と思うよに。
そんな中で出てきた謎の言葉――「QT?」「ステップアップツアー?」。調べれば調べるほど奥が深くて、女子ゴルフ選手たちがどれほど厳しい世界に挑んでいるのかが見えてきました。
この記事では、「QTってなに?」「ステップアップツアーってなに?」「プロになるのにどんなルートがあるの?」という疑問を、初心者の方にもわかりやすく、そして「応援したくなる気持ち」がもっと深まるように、丁寧に解説していきます。
QTとは?女子ゴルファーの“実力テスト”のようなもの
最近、ゴルフを始めたばかりの“応援団出身おやじ”こと、まひろです。学生時代は応援団、卒業後は草野球で子どもたちを教えながら、ずっと「応援する」側で生きてきました。
「QTってよく聞くけど、結局なんなの?」女子ゴルフファンになりたての頃、わたしもそう思っていました。
QTとは、「クオリファイングトーナメント(Qualifying Tournament)」の略で、プロゴルフ界で年間ツアーに出場する権利をかけた実力テストのようなものです。
とはいえ、ただの“テスト”と侮るなかれ。これ、応援団目線で言うと、まさに「試合に出るための壮絶なオーディション」。
さらに言えば、選手たちにとっては、「今年、自分がどこで戦うのか=職場がどこになるかを決める就職活動」なんです。
女子ゴルフの世界には、「レギュラーツアー」という年間を通じた本戦があります。そこに出場するには、出場資格(シード)を持っているか、もしくはQTで好成績を残すしかありません。
つまり、QTの結果次第でその年のスケジュールも、活動費も、選手の運命すら決まる。そんな一発勝負に近い、非情なサバイバルレースなのです。
レギュラーツアーに出られる選手の人数が限られているからこそ、QTの順位で、誰がどこでプレーできるかが明確に決まります。
・中位以下 → ステップアップツアーが主戦場に
・さらに下位 → 試合にほとんど出られない
選手にとっては、この結果が1年間の“勤務地”や“収入”を左右するので重大。だから、QTに合格した選手たちが「やっと職場が決まりました」と話すのも自然なんです。
QTには、プロテストに合格したばかりの新人選手も、シード権を逃したベテランも、アマチュア選手も出場します。「実績や年齢に関係なく、みんなが同じ土俵で戦う」この厳しさこそ、QTの最大の特徴。逆に言えば、無名の選手が一気にレギュラー参戦のチャンスを掴む舞台でもあります。
私が応援している選手たちも、最初はQTから這い上がってきました。
テレビでは見られない地道な努力や、緊張感あふれるQTのプレッシャーを知ると、ただプレーを見るだけでは味わえない、選手の“背景”まで感じる応援ができるようになります。
「この子は、QTを通過してこのステージに立っている」そんな視点が入るだけで、ゴルフ観戦の面白さが何倍にもなるんです。
QTのステージ制度を解説|誰がどこから受ける?
QT(クオリファイングトーナメント)は、「4つのステージ制」で構成されています。
簡単に言えば、「1次予選」「2次予選」「最終予選(ファイナルQT)」と進んでいき、最後に上位に入った選手が、来季のレギュラーツアーの出場権を得られる仕組みです。
ステージの数や仕組みは少し複雑ですが、わかりやすく整理するとこんな感じです。
- 1次予選(1stステージ)
→ アマチュアや新人プロが主にここからスタート。 - 最終予選(ファイナルQT)
→ 上位選手だけがたどり着ける、レギュラーツアーへの“最終関門”。
ここがポイントです。
QTは全員が一律スタートではなく、選手の実績や前年の成績などに応じて「出場ステージ」が変わります。
【例えば…】
- プロテスト合格直後の新人 → たいていは「1次」からスタート
- レギュラーツアーでシード権を逃したプロ → 「ファイナルQT」からスタート可能な場合も
つまり、ゴルフ界での“地位”によって、QTのスタート位置が変わるのです。
でも、例外もあります。例えば、プロテストに合格したばかりでも推薦で2次から出られる選手もいれば、逆に実績があっても怪我などで前年に出場機会がなかった選手は1次からのケースも。
わたしは最初、プロになったらツアーにバンバン出られると思っていました。でも、実際は違う。プロもアマも、一歩間違えば1次からスタートなんですね。
「この子、去年までツアー出てたのに、また1次からやり直しか…」そんな姿を見ると、本当に胸が熱くなります。
逆に、「この子、アマチュアだけどファイナルQTまで行ったんだ!」なんてケースもあって、QTはまさに“人生をかけた再スタートの舞台”なんですよね。
QTのステージ制度を理解すると、選手それぞれの立ち位置が見えてきますね。「1次から這い上がってきた」と聞くだけで、その選手の努力や背景を想像できます。
そういう情報を知っていると、女子ゴルフを観戦する楽しさが何倍にも広がります。
QTとプロテストの違いとは?(ゴルフ初心者の疑問)
ゴルフ初心者で、試合の仕組みがまだよく知らない方からすると、「プロテストとQTって何が違うの?」という疑問は当然のもの。
実はこの2つ、目的も受験資格も、全く違うものなんです。
プロテストとは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が主催する、女子選手が公式にプロとして認められるための試験です。
合格すれば「JLPGA会員」となり、晴れて“プロゴルファー”の仲間入り。
・合格率は数%と超狭き門
・多くの選手がここで何年も挑戦する
まさにプロゴルファーという肩書を手に入れる“入団テスト”のような存在です。
一方でQT(クオリファイングトーナメント)は、プロになった後、「どのツアーにどのくらい出場できるか」を決める選抜試験です。
・成績によって、翌年の試合出場枠が決まる
・アマチュアでもQTを受けて、良い成績を出せばツアーに出られることも
つまりこちらは、プロとして“どこで戦えるか”を決める昇格テストのようなもの。
- プロテストは「入部試験」
→ 選手が「プロの部員」になれるかどうかを決める! - QTは「レギュラー争い」
→ 入部したあとの選手が「試合に出られるかどうか」を決める戦い!
でもこの仕組みを知ると、試合に出場してる若手選手たちがどれだけ厳しい道をくぐり抜けてきたかが分かるんです。
応援したくなる気持ちが、湧いてきませんか?
QTの成績がレギュラーツアーとどう関係するの?
QTで好成績を残すと、翌年のレギュラーツアー(JLPGAツアー)にどれだけ出場できるかが決まります。つまり、QTとは単なる試験ではなく、“ツアー出場権をかけたサバイバル”なんです。
QTのファイナルステージで上位に入るほど、ツアー出場優先順位(リランキング順位)が高くなるため、開幕からのレギュラーツアーに毎週のように出場できるようになります。
これは野球で言えば、「1軍登録メンバー入り」みたいなイメージ。
当然、出場すれば獲得賞金も増え、シード権(賞金ランキング上位)を目指すチャンスが増えます。
QTで中位や下位だった選手は、出場できる試合が限られてしまうのが現実。
- 予選会や主催者推薦枠での出場
- 欠員待ち(繰り上がり)でギリギリ出られるかも…?
試合数が少ない分、少ないチャンスで結果を出すしかない、厳しい立場になります。
前年のレギュラーツアーで好成績を収めて賞金ランキング上位の選手にはシード権が与えられます。
シード選手はQTを受ける必要がありません。でも、女子ツアーのシードは50人前後のみ。つまり、それ以外の何百人もの選手たちがQTを争っているんです。
応援している選手がツアーで見かけなくなって、「最近見ないけどどうしたのかな…」と思ったこと、ありませんか?
それ、QTでの順位が原因かもしれません。でも、それは「実力がない」というより、チャンスが限られているだけなんです。
わたしは最初「プロになったら普通にツアーに出られる」と思ってました。でも、実際は出場枠の争奪戦があったんですね。
プロなのに試合に出られない、QTで人生が変わる。これを知ってるだけで、見方も応援の熱量も変わってくるんです。
QT落ちしても活躍できる?|ステップアップツアーの存在
「QTに通らなかったら終わりなの?」と心配になるかもしれませんが、実はここからが“応援のしがい”があるところなんです。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が主催する、もうひとつの公式戦ツアー。レギュラーツアーに対して、こちらは若手選手やQTで結果を残せなかった選手の登竜門。
年間十数試合が開催されていて、出場選手はプロ・アマ混合。もちろん、賞金もランキングもあり、公式記録にしっかり残ります。
たとえQTでつまずいても、ステップアップツアーで優勝や上位に入れば、推薦出場やリランキング突破のチャンスが見えてくる。
つまり、「QT不合格=ゲームオーバー」ではありません。「力を蓄えて、這い上がってくる場所」が、このステップアップツアーなんです。
わたしが女子ゴルフを本気で応援し始めたきっかけは、このステップアップツアーに出ている選手たちのひたむきな姿勢を見たからでした。
レギュラーツアーほど注目されない中でも、「次はわたしの番だ!」と前を向いて戦う姿に胸を打たれます。
名前を知っている選手が、ようやくレギュラーツアーに出てきたときの感動は、まるで“応援していた子がついに甲子園に出場する”ような気持ちになります。
結果だけじゃなく、選手の歩んできた道を知って応援することで、試合を見る目もグッと変わってきますよ。
ステップアップツアーに出場している若手選手から、「推し」の選手を見つけてみませんか?
97期の新人女子プロたちもQTを経験
JLPGAプロテストに合格したばかりの97期生たち。この世代の選手たちも、例外なくQT(クオリファイングトーナメント)に挑戦しています。
つまり、プロテストに合格して「よし、これからツアーだ!」と思ったその直後に、今度は“出場権をかけた戦い”が待っているんです。
たとえば、97期の荒木優奈選手。プロテスト合格後、QTのセカンドステージを突破し、ファイナルQTに進出。結果はファイナルQTで37位。この順位は、ステップアップツアーへの出場権を中心に得られるラインです。
一方、同じ97期の水木春花選手は、プロテスト直後のQTでファーストステージ敗退。2025年はステップアップツアーで実績を積み、次のチャンスを狙っていくという、いわば“再チャレンジ”ルートに進んでいます。
ちなみに、水木春花選手は、すでにステップアップツアー「フンドーキンレディース」で優勝(97期一番のり)。これからの活躍が期待されています。
97期新人女子プロ選手紹介
新人女子プロたちのエピソードとプレースタイルをまとめたよ。
プロテストを突破したばかりの選手にとって、QTはまさにデビュー前のもう一つの関門。
ここで高順位に入れれば、いきなりレギュラーツアー出場のチャンスが広がりますが、結果が出なければ、まずはステップアップツアーからのスタートになります。
QTの結果だけを見ると、「この選手はまだ出てこないのか…」と感じるかもしれません。
でも、選手たちはちゃんと次の場所で準備を続けています。レギュラーツアーに出場する姿が見られるまでには、ひとつひとつの関門を突破しながら歩む日々があるんです。
わたしはQTの結果をチェックするたびに、「今年この選手はどこから戦うのか?」「どんなストーリーがあるのか?」と気になって仕方がないんです。
名前を見つけるたびに、その選手のひたむきな努力やドラマが浮かんできて、ますます応援したくなる──そんな経験、みなさんにもぜひしてほしいと思っています。
まとめ|応援したくなる理由が、ここにある
ここまで読んでくださってありがとうございます。
QT(クオリファイングトーナメント)という仕組みを通して、女子ゴルファーたちの世界には、華やかなツアーの裏にあるもうひとつのドラマがあること、少しでも伝わっていたらうれしいです。
QTは、ただの出場権争いではありません。選手ひとりひとりが、「ゴルフを仕事にできるかどうか」をかけて挑む、人生の大切な岐路でもあります。
その舞台に、トップアマもプロも、新人もベテランも、みんなが立たされています。
だからこそ、ツアーで活躍する選手を見るとき、「この選手は、どんなQTをくぐり抜けてここまで来たんだろう?」と想像してみてください。
きっと、見る目が変わってくると思います。
わたしはいつも、QTの結果を見て、ステップアップツアーの出場者をチェックして、「あ、この選手、来シーズンは一気に伸びるかも!」なんて密かにワクワクしています。
選手の背景を知ることは、ゴルフ観戦を“スポーツ”としてだけでなく、“ストーリー”として楽しむ鍵にもなります。
わたしにとってQTは、「ひとりひとりの夢と努力が詰まった予選会」です。
結果がすべての勝負の世界。でも、そこに至るまでの物語を知っていると、どんな順位であっても、どんなステージからでも、その選手を心から応援したくなってきます。
TVの前で明るく振舞う女子選手たち。じつは厳しい彼女たちの世界の仕組みについて、少しでも理解のお役に立てたら幸いです。
最後に、新人女子プロ97期の選手たちを紹介します。
▶ その他の97期選手一覧はこちら
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