早熟の天才・ 山口すず夏は、なぜ米女子ツアーへ挑戦したのか?
海外へ挑戦する夢とオリンピックとプロテスト、
彼女が選択したものとその理由、そして、その選択を支えた父親の姿をお伝えします。
さらに、彼女が学んだ海外挑戦に必要なことをお伝えします。
早熟の天才・山口すず夏|渡米前の成績と父との二人三脚
山口すず夏選手は、ヒルズゴルフ・トミーアカデミーの2期生として、
中島常幸プロから指導を受けました。
たくさんの最年少記録を持った、早熟の天才・山口すず夏選手は、
アカデミー1期生の先輩・畑岡奈沙選手を追いかけるように、
高校在学中にプロ宣言をして、アメリカに渡って米女子ツアーに参加します。
2015年:ヒルズゴルフ・トミーアカデミー2期生を卒業
史上最年少14歳で「全米女子オープン」に出場
2018年:日本人で初めて「オーストラリア女子アマ」で優勝
米国女子ツアーの最終予選「Qシリーズ」で36位 (19年米ツアーの出場権を獲得)
2019年:高校3年生の18歳でプロ宣言
米ツアー「ISPSハンダ ヴィックオープン」でプロデビュー
そんな彼女をサポートするために、彼女の父親は一緒にアメリカに渡ります。
そして、キャディとして彼女のバッグを担いで、ゴルフ面をサポートします。
さらに、生活面では、運転や食事の世話まで、
彼女のアメリカ生活の全てを父親がサポートしてきました。
出典:
山口すず夏 プロフィール – GDOゴルフニュース
山口 すず 夏 プロフィール詳細|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
若き日の選択その1・山口すず夏|世界への憧れとプロテスト
2006年には、宮里藍プロが米女子ツアーに参戦して活躍しました。
それ以来しばらくの間は、日本人の女子選手が、
米女子ツアーで大きな活躍をすることはありませんでした。
そんななか、2018年にアカデミー1期生の先輩・畑岡奈沙選手が、
米女子ツアーの「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で優勝しました。
畑岡選手のことよく知らないファンを含め、日本中のゴルフファンは大興奮しました。
この時、山口すず夏選手は、まだ日本のプロテストに合格していません。
しかし、彼女はすでに、日本国内だけでなく、世界の舞台で素晴らしい成績を収めています。
さらには、幼少の頃から「海外ツアーに挑戦したい」という夢も持っていました。
アカデミーの後輩でもある彼女が、
アメリカに渡って挑戦する選択をしたことは、必然だったのかもしれません。
出典:
2024年プロテスト合格者 – 山口 すず夏|JLPGA|日本女子プロゴルフ協会
山口すず夏、プロテスト合格に涙「ゴルフ人生で一番うれしい」 – 日刊スポーツ
若き日の選択その2・山口すず夏|オリンピックとプロテスト
2000年生まれでプラチナ世代の山口すず夏選手は、古江彩佳選手と同学年です。
古江彩佳選手は、すず夏選手が渡米した2019年に、
国内ツアーで優勝してプロテストにも合格しています。
その後は、国内ツアーで8回優勝し、
2022年からは米女子ツアーに挑戦を始めて、
2024年には「アムンディ エビアン選手権」で優勝するなど大活躍をしています。
かたや、2019年米女子ツアーへの参加資格を、2018年末に取得したすず夏選手。
すず夏選手の目標の1つは、2020年に開催予定の東京オリンピックへの出場でした。
そんな彼女は、短い期間で東京オリンピックの代表に選ばれる方法を考えます。
まず、国内ツアーでコツコツ結果を重ねていても可能性はない。
しかし、米女子ツアーで大活躍すれば可能性はある。
その結果、すず夏選手は、2019年の国内プロテスト受験をあきらめて、
米女子ツアーへ参加する選択をしました。
出典:山口すず夏 – 成績、スタッツ、ランキング|ゴルフ – ALBA Net
試練と苦悩・山口すず夏|成績低迷の理由と父の支え
2017年に渡米した先輩の畑岡奈沙選手は、ゴルフにおける芝生の違いや、
食事や習慣の違いなどに慣れて優勝するまで、1年以上かかりました。
しかし、2019年に渡米した山口すず夏選手には、大きな問題が発生しました。
2019年に世界中で大流行したコロナが、彼女の挑戦を邪魔したのです。
ゴルフ場への入場が会員に限定されて、十分な練習ができない。
さらに、スーパーで食材を購入することにも問題があったようです。
情報は確認できていませんが、レンタカーやホテルの手配にも問題があったはずです。
彼女に関して確認できている問題は、渡米中は言葉の壁を感じたことと、
帰国後に「ドライバーの調子がわるい」という情報だけで、
渡米中のゴルフ面に関する問題は、確認できていません。
ただでさえ、ゴルフと生活面の違いに慣れるまでは苦労するのに、
彼女とお父さんの苦労は、コロナの影響で大変なものだったと思われます。
特に彼女のお父さんは、コロナ禍の中で彼女のゴルフと生活だけではなく、
コロナからも彼女を守り支えてくれたのです。
失敗から得た教訓・山口すず夏の今後|再び世界で戦うための準備
山口すず夏選手の米女子ツアーへの挑戦は、
コロナに邪魔された感があり、挑戦したタイミングが悪かったことは事実です。
もし、あと1年挑戦が早ければ、
コロナで苦労する前に、アメリカで戦う準備が整っていたかもしれません。
もし、あと1年挑戦が遅ければ、
コロナが収まるまで、挑戦する時期を遅らせることができたかもしれません。
しかし、彼女から「たられば」や「コロナへの恨み」の言葉は聞こえてきません。
逆に、「言葉の壁」を乗り越えるために、英会話を勉強する話が聞こえてきます。
アメリカで戦うためには、英語でのコミュニケーションが大切だと彼女は言います。
通訳を通さずにコミュニケーションができるようになれば、
現地のファンや関係者に応援してもらえる可能性が広がります。
さらに、現地コーチとのコミュニケーションが密になることで、
これまで以上に細かく指導してもらえたり、技術面の相談をすることも可能です。
そんな彼女が「ネイティブキャンプの英会話レッスン」を使って英会話の勉強をしている姿は、
インスタで見ることができます。
出典:山口すず夏 ゴルフで世界を目指す Native Camp
山口すず夏の今後|プロテスト合格の秘密と「推す」ポイント
コロナに邪魔された山口すず夏選手ですが、米女子ツアーへの挑戦は諦めていません。
米女子ツアー出場の機会が減って、
日本に残った同級生たちの活躍も気になりだした彼女は、
2021年から日本のプロテストを受験する決断をしました。
しかし、日本のプロ資格を持っていない彼女は、日本で経験を積む機会が限られています。
さらに、日本とアメリカを行き来する彼女には、
プロテストの試合を時差ぼけのまま行うこともありました。
そのうえ、
「米女子ツアー挑戦の前に、日本のプロテストを受験しておくべきだった」などの声や、
同級生たちの活躍する姿に、ストレスを感じることがあったようです。
何度も受験をかさねた彼女は、
しだいに、日本のプロテスト合格に対して、楽しみを感じられなくなっていきました。
それでも、2024年4回目のプロテストで合格できたのは、
米女子ツアーで鍛えられた、彼女の技術とメンタルのおかげだと思います。
「勝ってなんぼ」と言うすず夏選手、
彼女の「言い訳をしないで、真っすぐ目的に向かって進む姿」は、
われわれアマチュアのファンが、山口すず夏選手を「推す」ポイントだと思います。
出典:
山口すず夏(21)、日本ツアーの資格獲得へプロテスト受験 …sakuragolf.co.jp
「世界最高峰でのプレーは無駄ではなかった」 24歳になった …ALBA Net
山口すず夏の今後|プロテスト合格後の「応援」方法
日本とアメリカ、両国のプロ資格を得た山口すず夏選手の活躍の舞台は大きく広がりました。
彼女は、アメリカのエプソンツアーに参戦して、
米女子ツアーへの返り咲きを狙っていますが、
日本のJPLPGAツアーにも参戦する予定があります。
2025年は、たくさんの女子プロ選手が米女子ツアーに挑戦しています。
彼女たちが米女子ツアーで活躍する姿も楽しみですが、
すず夏選手の、米女子ツアーへのリベンジの結果も楽しみです。
米エプソンツアーは、映像で応援することは難しそうですが、
すず夏選手はインスタグラムで、
彼女の近況と、試合の予定や結果を報告しています。
最新の投稿では、日本の女子プロ資格を取得して、日本のプロとして初めて出場した、
JLPGAツアー「ダイキンオーキッドレディス」の結果を、
「楽しかった」と報告しています。
すず夏選手なら、先輩の畑岡奈沙選手と、同級生の古江彩佳選手に
追いついて、追い越すことができると信じています。

その時が来るまで、すず夏選手をインスタグラムで応援しましょう。
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